浮遊人形
2001年9月13日なんて風が気持ちいいんだろう
押され、吸い込まれ
僕を下からなぞり誘い込む
まだまだ・・・
まだ早い
目の前に映る灰色は僕に何も思わせてはくれないみたいだね
九月十四日水曜日
午前十一時十三分四十七秒
ベランダのない学校は不便
最上階
出窓に足をかけて立っている僕
グラウンド
民家
人
車
いろいろ
クラクラする視界にへばりつく
今日は僕の最終回だっていうのに何もかもが邪魔をしてきた
人々に僕の事を見てもらう為に屋上へ行くとその前には鉄柵が広がって開けられる事を拒んだ
なんどもなんども開けようと試みたのにビクともしないなんて・・・
五階建ての箱
ココには調教されるべく収容された飼い犬が溢れ返ってる
他の人は授業と言う名の調教を受けるんだろうね
僕は少し笑う
ふらつく足元に力をこめながら
両腕で窓枠を掴みピンと背筋を張ってぼやけて目の霞む感覚を楽しむ
あぁ・・くらくらしてる
いい感じだ・・いい感じ
さっき飲んだ薬が効いてきたんだ
十字架のように両手を大きく開きグラウンド側の窓に立つ
誰も居ない教室
一人の僕
誰も気にしない一人の僕
誰も気付かない一人の僕
たった一人の僕
足元に巣くう風の穴が大口を開ける
僕には求めるものが無い
少しだけ下を覗くと
勢いよく巻き上げる風にさらわれそう
バタバタとひるがえる制服
上履きを履いたままの僕は滑って落ちてもなんの問題もない
下に広がる花壇が手を伸ばしてる
みんな僕をまってるんだね
赤茶色のレンガ
黒光りする堅い堅いアスファルト
小指の先ほども無い花々
小さい・・そしてココは高い・・・・
怖い
全身に鳥肌が立つ
手が汗をかいてじっとりと湿ってくる
掴んでいた窓枠を滑りそうなぐらいに
足先がかすかに震えだしてる
怖い怖い
望んだ事に恐怖を覚えはじめる
血の気が引く
全身が寒くなるような感覚に襲われた
呼吸が荒くなる
思わず唾を呑み込んで
しびれるような恐怖感と一体化するようだ
怖い
足がすくんで動けなくなった
肩をすぼませて目をつぶる
怖い
怖くなんてない
怖い怖い
怖くなんてない
大丈夫
僕の決断に狂いはない
そして望んだ結末にも
目をつぶったまま真正面に居直った
まだガタガタと震えはあった
あの吸い込まれそうな空間・・・
きっと僕はぐちゃぐちゃだ・・・・
どうしようもない不安
死に際に走馬灯のように過去を見るというのは本当だ
ここ数日間の記憶が脳裏に飛んだ
胸のうちから込み上げてくる恐怖感に泣いた
怖くて僕は涙を流した
笑った
嬉しすぎて笑った
怖くて嬉しくて不安で楽しくて
薬の作用も手伝って精神不安定を高める
恐る恐る目を開いてみる
ぼやけてしまうが灰色を全身で感じた
もう怖くなんて無い
グラウンド側に人影をみる
ピィィ・・ピィィ・・・
騎兵隊のように笛に合わせて行進をする
ここで死の時を待つ僕に気付くかい?
ふらついてぐらついていつだって飛べる
だけど待って待って、まだ時間じゃない
雑音は遠くに聞こえていた
グラウンド側から僕を指差す人影を見たきがした
黄色い声援が飛ぶ
そんな雑音は遠くに遠くにしか聞こえない
僕を応援してくれるの?
僕に早く逝ってほしいの?
ありがとうありがとうみんな
君たちの期待に僕は答えるよ
ハラショー!
さぁステキなショウだ
笑ってくれるよね?
是非僕を一生の思い出としてとっておいてくれたまえ
もぅ・・ダメだ・・・
窓枠を掴む手さえも痺れてきた
遠くで聞こえる雑音が後ろで聞こえたような気がした
ガクンガクンと頭が上下に揺れて
黒目よりも白目が多くなった瞳は上だけ見てる
時間によって薬が全身にまわって来たみたいだね
すでに空中の僕は風に抱かれた
両手を伸ばしたままで飛ぶような体制
後ろから誰かの手が空中の僕にかすった
行き違いの手は僕を捕らえる事も無かっただろうね
そのまま前に倒れかかって僕は落ちる
大きな声援が・・雑・・音・・・が・・・・遠い・・・・
落ちる
・
・
・
・
・
・
落ちる
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
落ちてゆく
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
まっさかさま
何を考えていますか?
貴方もここにいますか?
どこに行くんだよ
『どこって?』
置いていかないでっ
『ダメよ』
なんでなんで・・?
『聞き分けがないわよ』
そんなことどうだってイイ!何所なんだ?
『ここよ』
一緒ぢゃないと僕は納得できない
『そうね・・・』
なんでだよっなんでっ
『約束』
もうこれ以上傷つきたくない
『十一時十三分四十七秒』
怖い
怖い怖い
怖くない
不安
希望
喜び
悲しみ
楽しさ
辛さ
笑顔
涙
逃
飛
・
・
・
・
・
『君』
堅いアスファルトにグチャグチャの僕は血に飲まれてった
押され、吸い込まれ
僕を下からなぞり誘い込む
まだまだ・・・
まだ早い
目の前に映る灰色は僕に何も思わせてはくれないみたいだね
九月十四日水曜日
午前十一時十三分四十七秒
ベランダのない学校は不便
最上階
出窓に足をかけて立っている僕
グラウンド
民家
人
車
いろいろ
クラクラする視界にへばりつく
今日は僕の最終回だっていうのに何もかもが邪魔をしてきた
人々に僕の事を見てもらう為に屋上へ行くとその前には鉄柵が広がって開けられる事を拒んだ
なんどもなんども開けようと試みたのにビクともしないなんて・・・
五階建ての箱
ココには調教されるべく収容された飼い犬が溢れ返ってる
他の人は授業と言う名の調教を受けるんだろうね
僕は少し笑う
ふらつく足元に力をこめながら
両腕で窓枠を掴みピンと背筋を張ってぼやけて目の霞む感覚を楽しむ
あぁ・・くらくらしてる
いい感じだ・・いい感じ
さっき飲んだ薬が効いてきたんだ
十字架のように両手を大きく開きグラウンド側の窓に立つ
誰も居ない教室
一人の僕
誰も気にしない一人の僕
誰も気付かない一人の僕
たった一人の僕
足元に巣くう風の穴が大口を開ける
僕には求めるものが無い
少しだけ下を覗くと
勢いよく巻き上げる風にさらわれそう
バタバタとひるがえる制服
上履きを履いたままの僕は滑って落ちてもなんの問題もない
下に広がる花壇が手を伸ばしてる
みんな僕をまってるんだね
赤茶色のレンガ
黒光りする堅い堅いアスファルト
小指の先ほども無い花々
小さい・・そしてココは高い・・・・
怖い
全身に鳥肌が立つ
手が汗をかいてじっとりと湿ってくる
掴んでいた窓枠を滑りそうなぐらいに
足先がかすかに震えだしてる
怖い怖い
望んだ事に恐怖を覚えはじめる
血の気が引く
全身が寒くなるような感覚に襲われた
呼吸が荒くなる
思わず唾を呑み込んで
しびれるような恐怖感と一体化するようだ
怖い
足がすくんで動けなくなった
肩をすぼませて目をつぶる
怖い
怖くなんてない
怖い怖い
怖くなんてない
大丈夫
僕の決断に狂いはない
そして望んだ結末にも
目をつぶったまま真正面に居直った
まだガタガタと震えはあった
あの吸い込まれそうな空間・・・
きっと僕はぐちゃぐちゃだ・・・・
どうしようもない不安
死に際に走馬灯のように過去を見るというのは本当だ
ここ数日間の記憶が脳裏に飛んだ
胸のうちから込み上げてくる恐怖感に泣いた
怖くて僕は涙を流した
笑った
嬉しすぎて笑った
怖くて嬉しくて不安で楽しくて
薬の作用も手伝って精神不安定を高める
恐る恐る目を開いてみる
ぼやけてしまうが灰色を全身で感じた
もう怖くなんて無い
グラウンド側に人影をみる
ピィィ・・ピィィ・・・
騎兵隊のように笛に合わせて行進をする
ここで死の時を待つ僕に気付くかい?
ふらついてぐらついていつだって飛べる
だけど待って待って、まだ時間じゃない
雑音は遠くに聞こえていた
グラウンド側から僕を指差す人影を見たきがした
黄色い声援が飛ぶ
そんな雑音は遠くに遠くにしか聞こえない
僕を応援してくれるの?
僕に早く逝ってほしいの?
ありがとうありがとうみんな
君たちの期待に僕は答えるよ
ハラショー!
さぁステキなショウだ
笑ってくれるよね?
是非僕を一生の思い出としてとっておいてくれたまえ
もぅ・・ダメだ・・・
窓枠を掴む手さえも痺れてきた
遠くで聞こえる雑音が後ろで聞こえたような気がした
ガクンガクンと頭が上下に揺れて
黒目よりも白目が多くなった瞳は上だけ見てる
時間によって薬が全身にまわって来たみたいだね
すでに空中の僕は風に抱かれた
両手を伸ばしたままで飛ぶような体制
後ろから誰かの手が空中の僕にかすった
行き違いの手は僕を捕らえる事も無かっただろうね
そのまま前に倒れかかって僕は落ちる
大きな声援が・・雑・・音・・・が・・・・遠い・・・・
落ちる
・
・
・
・
・
・
落ちる
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
落ちてゆく
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
まっさかさま
何を考えていますか?
貴方もここにいますか?
どこに行くんだよ
『どこって?』
置いていかないでっ
『ダメよ』
なんでなんで・・?
『聞き分けがないわよ』
そんなことどうだってイイ!何所なんだ?
『ここよ』
一緒ぢゃないと僕は納得できない
『そうね・・・』
なんでだよっなんでっ
『約束』
もうこれ以上傷つきたくない
『十一時十三分四十七秒』
怖い
怖い怖い
怖くない
不安
希望
喜び
悲しみ
楽しさ
辛さ
笑顔
涙
逃
飛
・
・
・
・
・
『君』
堅いアスファルトにグチャグチャの僕は血に飲まれてった
コメント